ごあいさつ――さくらに寄せて

 唐丹町は明治以降平成に至るまで、1896(明治29)年の明治三陸津波(最大痕跡値16.7m)、1913(大正2)年の焼失家屋が200戸を超える大火、さらに1933(昭和8)年の昭和三陸津波(最大痕跡値12.1m)により、3度の壊滅的な被害を受けてきました。

 

 2011(平成23)年3月11日の東日本大震災においても、津波が襲来し最大痕跡値は19.3mに及びました。「1000年に一度」といわれる津波でした。しかし、昭和三陸津波後に高台移転が進んでいたこと、避難の教訓が伝えられていたことなどにより、町としての壊滅的な被害はまぬがれています。

 

 昭和三陸津波の翌年、地域の人々は国道沿いにサクラを植えました。それは、しっかりと根づき、毎年、きれいな花を見せてくれるようになりました。満開の花の下でお弁当を広げているとき、お祭りの行列に連なっているとき、誰もがはればれとした笑顔だった記憶があります。

 

 そうした「さくら」を心に描きながら、ささやかではありますが、言葉をつないでいきたいと思います。

 

(2013年9月9日)